コベルコビジネスサポート パーソネルTopics20185月)

 

法令改正などから取り上げてご案内します。

年金関係の手続きが、マイナンバーで提出できるようになりました

平成303月より、年金関係の手続きが、マイナンバー(個人番号)で提出できるようになりました。これにより、一部の届出や手続きが、変更や不要になっています。

「住所・氏名変更届」の届出が不要になりました(厚生年金の被保険者)

■ 日本年金機構でマイナンバーと基礎年金番号が紐付いている人については、「被保険者の住所変更届」および「被保険者・受給権者の氏名変更届」の届出が不要になりました。(平成3035日から)

■ 従業員のマイナンバーが変更になる場合は、「個人番号変更届」(新設)により、事業主経由で、日本年金機構へ届出しなければなりません。

■ 住民票上の住所とは別に、通知等の郵送先(居所)を登録できるようになりました。(厚生年金被保険者および第3号被保険者に限ります。)

■ 従業員のマイナンバーが、日本年金機構で未収録となっているときは、日本年金機構が、毎年定期的に、事業主へ対象者リストを送付します。その場合、事業主は、対象者のマイナンバーを回答する必要があります。

/ポイント/

3号被保険者については、従来通り届出が必要です。
また、健康保険組合によっては、従来通り届出が必要なところもあります。それぞれ注意が必要です。

「資格取得届」がマイナンバーで手続きできるようになりました

■ 採用時に提出する「資格取得届」について、原則マイナンバーで手続きすることになりました。

・ これにより、従業員への基礎年金番号の確認が不要になります。(平成3035日から)

・ 日本年金機構からの通知は、基礎年金番号で返送されます。
以後の手続きについて、基礎年金番号とマイナンバーのどちらで行うかを、事業主が選択できます。

■ 「資格取得届」にマイナンバーを記載すれば、住所の記載が不要になります。

・ 事業主宛てに通知される「決定通知書」についても、住所欄が省略されます。

■ 初めて年金制度に加入した従業員の「資格取得届」の手続きにおいて、「決定通知書」と「年金手帳」が、それぞれ別に送付されます。(手元に到着する時期が異なります。)

/ポイント/

「資格取得届」にマイナンバーを記載する場合、マイナンバーの安全管理措置が求められます。利用、書類の持ち運び、削除するときには、都度その内容を記録してください。

届出の様式について、大きさなどが統一されました

■ 主要な届出についてA4縦型に統一されました。

■ 被扶養者(異動)届と3号届が統一されて、1枚の届書になりました。

■ 厚生年金適用関係の届出(資格取得、算定届等)に関して、被保険者に関する届出と70歳以上被用者に関する届出が統一されました。

■ 健康保険組合によっては、当面、従来の様式での届出を求められる場合があります。

/ポイント/

届出(紙)の様式変更に伴い、電子申請・電子媒体の仕様も変更になりました。新様式で届出する場合は、新バージョンの「届書作成プログラム」または「仕様チェックプログラム」になっているかを確認しましょう。

 

 

 

給与計算の基本となる考え方などを取り上げてご紹介します。

定時決定(算定)と随時改定(月変)

健康保険および厚生年金保険の標準報酬月額を毎年1回決定する「定時決定(算定)」の時期になりました。この標準報酬月額に関する処理は、煩雑で手間がかかると感じている方も多いのではないでしょうか。今回、特に「定時決定(算定)」と「随時改定(月変)」について、注意すべき点などをいくつか取り上げてみました。

「定時決定」と「随時改定」のあらまし

 

 

定時決定(算定)

随時改定(月変)

対象者

71日現在で使用している全ての被保険者

但し、以下@〜Bのいずれかに該当する人を除く

@ 61日以降に資格取得した人

A 630日以前に退職した人

B 随時改定または育児休業等終了時の改定により、7月から9月までのいずれかの月から標準報酬月額が改定される人

当年9月〜翌年8月分の間に、昇給や降給などにより報酬に大幅な変動があった被保険者

具体的には、以下@〜Bをすべて満たす人

@ 昇給や降給等で固定的賃金に変動がある人

A 変動月以降引き続く3か月とも支払基礎日数が17日以上ある人

B 変動月から3か月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額の差が2等級以上ある人

算出
対象月

46月に支払った報酬より算出

 

固定的賃金の変動月から3か月間の報酬より算出

支払基礎
日数

支払基礎日数が17日未満の月があれば、その月を除いて報酬月額を算出

(例えば、46月のうち、5月が17日未満のとき、4月と6月の報酬を足したものを「2」で割って算出)

固定的賃金の変動月以降引き続く3か月間とも、支払基礎日数が17日以上なければ算出しない。

新標準報
酬月額の
適用月

原則、9月〜翌年8月までの1年間の各月に適用

固定的賃金が変動し、その報酬を支払った月から数えて4か月目に適用し、

6月以前の改定→原則、当年8月までの各月に適用

7月以降の改定→原則、翌年8月までの各月に適用

届出書類

 

届出用紙
での提出
のとき

@ 被保険者報酬月額算定基礎届 70歳以上被用者算定基礎届

A 被保険者報酬月額算定基礎届総括表

B 被保険者報酬月額算定基礎届総括表附表(雇用に関する調査票)

以下、該当する人がいる場合

C 被保険者報酬月額変更届 70歳以上被用者月額変更届(7月改定者)

@ 被保険者報酬月額変更届 70歳以上被用者月額変更届

短時間就労者、短時間労働者の支払基礎日数については、あとに記載します。

「現物給与」も標準報酬月額の対象になります

■ 標準報酬月額は、金銭で支給される給与だけでなく、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事などで支給される「現物給与」も含めて計算します。

■ 『現物給与を通貨に換算した額(以下、現物給与による額)』を計算し、それを金銭で支給される給与に合算します。

「現物給与価格」

厚生労働省が都道府県別に定める価格のこと
食事代と住宅の貸与についてはこれを用いて『現物給与による額』を計算します。

食事代

・ 食事代徴収額 <「現物給与価額」の3分の2 のとき

『現物給与による額』=「現物給与価額」−「徴収額」

・ 食事代徴収額 ≧「現物給与価額」の3分の2 のとき

『現物給与による額』= なし(ゼロ円)

住宅の貸与

『現物給与による額』=「現物給与価額」−「徴収額」

その他の
報酬等

『現物給与による額』=「時価」
(自社製品、通勤定期券、回数券、勤務服でない被服など)

■ 住宅の貸与の『現物給与による額』は、居住用の室が対象となります。居住用でない室や営業用の室は対象となりません。

対象となる

居間、茶の間、寝室、客間、書斎、応接間、仏間、食事室など

対象とならない

玄関、台所(炊事場)、トイレ、浴室、廊下、農家の土間、店、事務室、旅館の客室など

・ 「現物給与価格」は「畳1畳あたりの価格」で決定されています。この価格に、対象となる室の畳数を乗じて『現物給与による額』を計算します。
(畳数が分からないときは、1畳あたり1.65uで換算)

・ 勤務地と社宅所在地の県が異なるときは、勤務地の県の「現物給与価額」で計算します。
なお、従業員本人と家族が別々の社宅に入居しているときは、どちらの社宅も、本人勤務地の県の「現物給与価格」で計算します。

・ 月途中から入居した場合であれば、日割計算を行います。

/ポイント/

従業員の勤務地や社宅・寮が変更になった場合は、現物給与価格が変更になる可能性があります。必ず確認しましょう。

「固定的賃金」と「非固定的賃金」

■ 随時改定の判断要素となる「固定的賃金」、ならびに「非固定的賃金」は次のとおり区別されます。

固定的賃金

基本給(月給、週給、日給)、家族手当、通勤手当、住宅手当、役付手当、勤務地手当など、支給額や支給率がきまっているもの

非固定的賃金

残業手当、能率手当、日直手当、休日勤務手当、精勤手当など

■ 通勤手当(固定的賃金)を3か月または6か月単位で支給したときは、月数で割った1か月あたりの額を、その対象月に含めます。(1円未満は端数切捨)

/ポイント/

「固定的賃金」と「非固定的賃金」のどちらに該当するのか、注意して区別しましょう。
例えば、単身赴任時に一時帰宅旅費を支給している場合、実績に係わらず一定額を毎月支給すれば、「固定的賃金」になります。

「標準報酬月額」と「標準賞与額」のどちらに該当しますか?

■ 標準報酬月額の「報酬」は「労働者が労働の対償としてうけるすべてのもの」が該当します。
よって、臨時のものや、年3回以下支給の賞与などは、「報酬」には該当しません。

「報酬」に該当しないものの例

・ 金銭(通貨)で支給されるもの

大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職手当、出張旅費、交際費、慶弔費、傷病手当金、労災保険の休業補償給付、年3回以下支給の賞与など

・現物支給のもの

制服、業務に要する作業着、見舞品、本人負担額が現物給与価格の2/3以上となる食事など

■ 支給回数が年3回以下の賞与は「標準賞与額」として、賞与の保険料の対象となります。
また、支給回数が年4回以上の賞与は「標準報酬月額」の対象となります。

・ 規程にはなくても630日までの1年間に4回以上の支給実績があれば、「標準報酬月額」の対象となります。

・ 決算手当など名称が異なっても、賞与と同一性質とみなされるものは、支給回数に含めます。
但し、その年に限って例外的に支給されるもの(大入袋など)は、支給回数に含めません。

/ポイント/

4回以上支給の賞与(「標準報酬月額」の対象となるとき)は、その賞与の支給時に社会保険料を徴収しませんので、注意が必要です。

「短時間就労者」と「短時間労働者」は支払基礎日数が異なります

■ 「短時間就労者」

・ パート・契約社員等の名称を問わず、「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上」の人が該当します。

・ 定時決定では、次の支払基礎日数で対象月を判断します。

17日以上の月があるとき → 17日以上の月を対象とする。
・ すべての月が17日未満のとき → 15日以上の月を対象とする。

■ 「短時間労働者」

・ 「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3未満」で、次の@~Dをすべて満たす人は、「短時間労働者」に該当します。

@ 週の所定労働時間が20時間以上
A 雇用期間が1年以上見込まれている。
B 賃金の月額が8.8万円以上
C 学生でない。
D 通常501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めている。

501人未満でも、労使合意により、任意特定適用事業所として適用する場合があります。)

・ 定時決定、随時改定では、次の支払基礎日数で判断します。

・ 定時決定 → 11日以上の月を対象とする。
・ 随時改定 → 3か月とも11日以上あることが条件の1つになる。

/ポイント/

契約更新により「短時間就労者」が「短時間労働者」に新たに該当する場合があります。契約更新時には、その内容を確認しましょう。

70歳以上の被用者に関する届出をお忘れなく

■ 次の@~Bをすべて満たす人は「被保険者報酬月額算定基礎届 70歳以上被用者算定基礎届」を届出します。

@ 70歳以上
A 過去に厚生年金保険の被保険者期間がある。
B 事業所に常時使用されている。

■ 健康保険の資格を喪失した75歳以上の人も届出が必要です。

/ポイント/

厚生年金保険料を徴収しませんので、届出漏れをしないように注意しましょう。

育児休業等が終了したときの報酬月額変更について

■ 育児休業等終了日に3歳未満の子を養育している被保険者は、「固定的賃金」が変動しなくても、次の@Aを満たす場合に標準報酬月額が改定になります。

@ 育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月のうち、少なくとも1か月の支払基礎日数が17日以上である。

A その3か月間に受けた報酬の平均額に基づく標準報酬月額が、これまでより1等級でも差がある。
(報酬の平均額は、支払基礎日数17日未満の月を除いて計算)

次の人は支払基礎日数が異なります。

・ 短時間就労者 → 支払基礎日数が3か月のいずれも17日未満であれば、そのうち15日以上17日未満の月で計算

・ 短時間労働者 → 支払基礎日数11日以上の月で計算

■ 年金額の計算において、みなし措置を受けることができます。

3歳未満の子を養育する期間の標準報酬月額が、養育開始前の前月の標準報酬月額(従前標準報酬月額)より下回る場合は、従前標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして、年金額を計算することができます。

・ 本人の申し出により、事業主経由で「養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」を提出することで、この措置を受けることができます。

/ポイント/

「養育期間標準報酬月額特例」は、育児休業を取得していない場合も適用されます。対象となる人を正しく把握しておきましょう。

 

 

ご清覧いただきまして、ありがとうございます。

今回から、私共の状況などを、ここで少しご報告します。併せてお目通しいただけると嬉しく思います。
昨年、部員のスキルアップの一環として、給与計算実務検定2級を全員で受験しました。私は、昨年4月に入社したばかりですし、検定受験は、高校生の時に何度か失敗しています。
ですので、一発で合格するために、問題集を繰り返し解いて、必死に規程や計算方法を頭に叩き込みました。
その結果、私を含め、受験した全員が無事に合格。
勉強中は辛かったのですが、頑張って本当によかったです。
次は1級が待ち構えています。それに向けて、また頑張ります。(K/入社2年目)

ご希望の内容などございましたら、貴社の給与計算業務を受託しております弊社担当者まで是非お申し付けください。
なお、当記事は、20184月時点で公表されている制度内容等を基に作成しています。

 <編集担当:パーソネルサービス部 第二業務グループ>