今日味新深(No.14:2010/7/15)
弊社が昨年度、(社)日本機械工業連合会より受託いたしました
「産学官連携における成功要因と課題についての調査研究」事業をご紹介いたします。
本調査研究の目的は、機械工業が新興国市場の拡大に伴うグローバル競争を勝ち抜くために、具体的な事例調査を通じて産学官連携活動を企業側および大学側の双方で活性化させ、今後の事業を成功に導く要因を明らかにすることです。
本調査では、同会の会員企業にもご協力を頂き、製品開発を主目的とした場合の技術の製品化や具現化に着目した産学連携事例の成功・失敗に関するヒアリングおよびアンケート調査を実施し、成功要因の分析と課題の抽出を行いました。
主な結論は以下の通りです。
一方、産学官連携の進め方という点では、成功した事例に以下の様な傾向が見られました。
- 企業サイドが技術的なリーダーシップを採る方が、成功しているケースが多い
- 企業が自分に無い技術シーズを大学に求めて新製品開発を行う方が、成果が出易い
- 企業側から戦略的に連携を持ちかけた場合の方が、成功する率が高い
- 企業のトップの関心が高い方が、成功する率が高い
これらをまとめると、成功を根底で支えているのは、「コミュニケーションを通して実現する連携のマネージメント」とのありきたりの結論となってしまいましたが、本事例調査の具体的な内容は、各社の産学官連携成功のためのヒントとなるものと思われます。
次に、機械工業が将来の新製品開発や技術基盤を高めるためには、個々の企業が個別に大学との連携の運営方法を工夫するだけでは限界があることも明らかになりました。
以上の調査結果から
- 産学官でそれぞれの最適なパートナーと出会う確率を高めるシステムの構築や、大学側における産学連携を効率よく推進するスケジュール調整機能が確保されること
- 産業界から見て重要な技術領域を戦略的に設定することにより、産業界が必要とする技術分野に関して日本の大学が継続的に人材育成や人材供給を図ること
- 中小企業に対して機械工業の基盤技術や工業技術の知識集積が成されるような、大学や国・地域の研究機関を充実させること
が必要なことを提言しました。