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インドネシア 次の経済大国

今日味新深(No.68:2014/4/20)

 インドネシアは次の経済大国か?そのリスクは何か?-世界第4位の人口を有するインドネシアは新興国として世界から注目されはじめています。

 そこで今回は昨年11月に相次いで開催された2つのセミナーの講演1)、2)から、そのポテンシャルを眺めてみることとします。

 世銀は2011年5月の”Multi polarity-The New Global Economy”において「”BRIICKs”(ブラジル、ロシア、インド、インドネシア、中国、韓国)の成長が2025年までに世界経済成長の半分以上になる」と報告し、アジア開発銀行も”アジアの2050年”で「アジアの世紀はAsia7(中国、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、タイ)が牽引する」と報告しています。
 インドネシアの2011年GDP成長率6.5%はアジアの中で中国、インドに次ぐものですが、アジア各国が軒並み2010年より成長率が低下している中で前年より高い成長を示しており、加えて、貿易依存度が50%と低く内需主導型であるのも特徴です。

 成長の背景には、安定な政治体制に加え、人口ボーナス(=総人口に占める生産年齢人口の割合の高さ。経済発展を後押しする効果の指標となる。)が相対的に長く続くことを挙げられます。中国、韓国、タイは2015年頃に人口ボーナスが終わりますが、インドネシアは2030年頃まで続くため、需要(市場)と供給(労働力)の両面で長期的に効果が期待できます。2050年頃に人口は日本の3倍に、経済規模は日本を超えるとの見方もあります。
 インドネシア政府は、2025年に世界の10大経済国になることを目指して、長期経済開発計画(2011~25年)を始動させています。”6つのインドネシア経済回廊(産業振興とインフラ整備を総合的に推進)”を日本が提案し、この10月に総額3.4兆円のマスタープランも両国で合意されたところです。

 では、インドネシア進出においてリスクはないのか? 2つ目の講演では、労務管理の重要さが指摘されました。今年に入り賃金問題に係わるデモが頻発しています。人口ボーナスで労働力は豊富な筈ですが、進出企業が多いためにジャカルタ近郊では売り手市場にあります。
 最低賃金の上昇率は対前年比で2011年15%、2012年18.5%、2013年には実に32%も上昇する可能性があります。マネージャークラスになると、タイやマレーシアと同レベル賃金であるようです。雇用形態に関する規制も複雑である点も見逃せないとしており、低賃金を前提としたビジネスモデルでの進出には、良好な労使関係を築くことが重点課題であると結んでいます。

 労務管理以外にも不安定な為替、法制度の未整備や不透明な運用もある。しかし、そのような状況の中で、日本の企業の進出が続いている点は注目されます。


1)JETROアジア経済研究所地域研究センター長 佐藤百合:「経済大国インドネシア~現状・展望・日本との関係~」JETROアジア経済研究所幕張新都心公開セミナー2012年11月8日
2)JAC Business Center (Indonesia) 上田ぬ美子:「労務管理のポイント」 JETRO海外調査部セミナー「インドネシア労務セミナー」2012年11月14日

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