今日味新深(No.11:2010/6/1)
新政権が打ち出した1990年度比25%温暖化ガス削減目標に対して, 3月12日に閣議決定された地球温暖化対策基本法案は、国会審議に入り5月14日に衆院環境委員会で可決され、今国会中に成立する公算が高まったと見られています。
日本の25%削減が,「自分にとってどのような意味を持つのだろうか」というポイントは, 民間企業のみならず国の関連機関,一般市民生活にとっても大きな関心事です。
最近,当社においても,このような背景を持つ調査受託や,引き合いを頂くケースが増えています。従来,新エネルギーの関連であったり,原子力の関連であったり,低炭素に係る各種の個別技術調査で多くの実績を積んでおりましたが,最近は「低炭素」のキーワードが表題につけられた調査案件が増えています。
そこで今回は,最近の当社調査受注の中から,この低炭素のキーワードがついた公的機関からの調査テーマを紹介したいと思います。
(1)内閣府
「低炭素技術に関する主要国の動向等の調査」
本件は、主要国の低炭素技術開発に係る「政策」、「導入目標」、「製品性能」、「実用化時期」、「コスト目標」等を主眼とした調査を行いました。主要国とは、日本をはじめとする米国、EU,英国,フランス,ドイツの先進国と,中国,インド,ブラジルの新興国を対象としています。また、研究開発期間は現在から2050年頃までを対象としており、その間に低炭素化に貢献できる技術、政策を主眼としました。
本調査の具体的な内容としては、以下の項目があります。
- ハイブリッド車等に搭載する電池(主としてリチウムイオン電池)及びその周辺技術
- 従来発電分野および原子力発電分野における取り組み
- 再生可能エネルギー分野における取り組み
- 水素技術分野における取り組み
- バイオ燃料分野における取り組み
- 民生部門関連における取り組み
- その他分野における取り組み
それぞれの項目で各国とも低炭素技術について自国の特徴と資源等を活かして開発を進めていることが、本調査で明らかになりました。
(2)日本機械工業連合会
「低炭素社会実現に向けて機械産業の持つ技術の活用方策についての調査研究」
本調査は,日本の機械業界が保有しており、我が国製造業の製造・加工プロセスに適用されている優秀な省エネルギー技術や環境技術を,東アジア市場に対して適用して行くに際し,欧米との競争力を確保しながらビジネス展開を進めるにはどのようにすれば良いのかを検討するものです。
今年度は、東アジア諸国の中から、人口動態、マクロ経済データ、エネルギー消費動向、エネルギー多消費型産業および省エネルギー・環境に関する法規制に焦点を当てた比較検討と調査対象国を選定し、中国を含む4カ国に決定しました。
次年度は、この4カ国について、省エネ技術ニーズを把握し、欧米機械メーカーのビジネスモデルの検証を行い、日本の省エネ技術を事業展開するためのビジネスモデルの検討を実施する予定となっております。