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知財・情報フェアに参加して -知財における生成AIの活用-

 2024年10月2日~4日に東京ビックサイトで開催されました「2024知財・情報フェア&コンファレンス」に参加しました。

 「知財・情報フェア&コンファレンス」は知財関係者などが集う年1度の大きなイベントであり、特許調査に用いられる特許データベースや解析ツールなどの紹介が行われています。今回は国内外約110社の出展と15の特設パネルに加えて、日本の特許庁を始めとした各国特許庁の講演があり、3日間の参加者は約13,000人になります。

 特許庁の講演では、審査期間短縮への取り組みの一つとして、AIの活用が紹介されました。特許庁では、分類付与、先行技術調査、商標イメージサーチ、機械翻訳などの用途でAIを利用しています。AIの利用によって、審査品質を維持しつつ世界トップクラスの短い審査期間を達成しています。少しだけ説明を加えますと、分類付与では、外国語特許文献に対してFI/Fターム分類を付与します。先行技術調査では、画像検索技術によって関連性の高い図面を有する特許文献を優先的に表示させ、書誌事項や引用関係の情報を用いて、優先度の高い特許から順にリスト化させます。

 各社のブースでは、AIを用いた翻訳ソフトや特許データベースが多く出展されていました。今年は「生成AIを用いて特許の課題を要約化してタグ付けやチャート化を行うツール」、「与えられた特許集合から請求項の対比表を作成するといった機能を持つソフト」などの紹介が目立ちました。

生成AIの登場以来、特許調査への生成AI利用に関する様々な提案が行われています。ハルシネーションを避けつつ生成AIを活用することが求められており、特許検索への活用よりも、特許への分類付与や特許内容の要約作成、特許明細書の翻訳に対して、生成AI活用の検討が進んでいるようです。

 これまで、弊社では、いくつかの特許データベースのAI検索や概念検索の調査を行いました。従来の検索方法と比較して、現時点ではAI検索システムの利用で必ずしも正確な検索結果が得られるとは限りません。一方、特許明細書を精読して、用語を統制しつつマップ化する作業では、AIの活用による生産性の向上が期待できます。

 今回のフェアでは、AIを用いた機械翻訳に関する出展も目立ちました。特許庁でも、過去から特許明細書の機械翻訳に関する調査が行われています。特許明細書は独特な言い回しで複雑な文構造を持っているため、翻訳には正確性が重視されます。日本語から他言語へは、機械翻訳したうえで人が修正しています。他言語から日本語へ翻訳する場合には、US(英語)、EP(英語/ドイツ語/フランス語)、CN(中国語)、KR(韓国語)、WO(中国語)それぞれに特化した翻訳エンジンを用いています。これらは先行技術調査等に用いられているだけではありません。J-platpatでは、中国特許の明細書全文の翻訳文が公開されており、WO、USについても要約部分の翻訳文が公開されています。一方で、タイ、ベトナム、台湾、ロシアなどの特許・意匠・商標の検索ができる外国特許情報サービスの“FOPISER”では、タイ語、ベトナム語、ロシア語の日本語訳にGoogle翻訳が利用されています。特許に特化した翻訳エンジンによる多言語翻訳は、依然として課題の一つです。

 弊社は特許調査サービスを提供しており、お客様からのご要望によって、調査対象はますますグローバル化しています。海外特許調査では、他国語から日本語への翻訳が不可欠であり、AIを活用した機械翻訳エンジンの進歩に目を配りつつ、特許調査の一層の品質向上に努めてまいります。

以上


*1 もっともらしいが誤ったまたは誤解を招く応答

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