今日味新深(No.24:2011/01/20)
当グループでは昨年、(社)日本機械工業連合会から委託を受け、機械産業を中心に日本企業の海外進出の状況や海外生産と国内生産の最適な棲み分けのあり方などについて調査を実施しました。
近年、海外直接投資により工場や支店などの拠点を海外に設け、国際展開を積極的に推進する日本企業が多くなりました。この背景には、様々な要因が考えられますが、例えば国内では少子高齢社会に伴う人口減による市場の減少が始まる一方、海外では中国をはじめ東南アジア諸国などの新興国の経済成長によるマーケットの急拡大といったことなどが考えられます。
先の世界的な金融危機においても、こうした新興国がいち早く経済回復を遂げました。このようにグローバル経済が進展する中、我が国の企業活動においてもこれら新興国を抜きにビジネスを語ることはできません。
当グループは、文献やWeb調査等をはじめ、アンケート調査や聞き取り調査などを加味した、定性面・定量面の両面からの考察、分析を強みとしており、今回の調査でもこの調査方法により、日本企業の海外進出状況や進出の判断要素などを把握するとともに、進出対象国の技術力(人材のレベル)などの評価を行いました。また、機械産業の中でも特に工作機械産業を取り上げ、国際競争環境・市場ニーズの変化について調査致しました。
こうした調査の結果、これまでは製品や顧客によってある程度棲み分けされていた市場環境が大きく変化していることが分かりました。特に需要が大きく増加しているミドルクラスの市場を狙って欧州メーカーや新興メーカーなどが参入し、競争が激しくなっています。
機械産業の中でも既に海外進出が進んでいる耐久消費財産業とは異なり、いわゆるマザーマシンと呼ばれる工作機械を中心とする産業用機械は一部の汎用品を除き、ニーズも強くないこともあって、海外現地生産はあまり進んでいませんでした。
しかしながら、今後も国内市場の減少が予想される中、日本企業の生き残りのためには海外市場、特にローカル企業の需要を取り込んでいくことが必須課題であると考えられます。
そのためには国内外の生産のあり方を検討する必要性が高まり、今まで以上に進出先(ユーザー戦略)と製品メニュー(製品戦略)の見極めを行うことがより重要な鍵であると考えられます。
下記の日本機械工業連合会のサイトで、本報告書の要約および全文を公開しています。